アイキャッチ画像は2012年のベルリンマラソンからムタイ選手とキメット選手。この時はムタイ選手が優勝してキメット選手が2位でした。今年はキメット選手が人類初の2時間2分台で優勝し、ムタイ選手が2位でした。
写真はFile:Berlin marathon 2012 buelowstrasse between kilometers 36 and 37 30.09.2012 10-51-10.jpg – Wikimedia Commonsから使わせていただいております。
少し古いニュースではありますが、昨年に引き続き今年もベルリンマラソンで世界記録が更新されました。
引用元: ケニアのキメット、2時間2分台の世界新で優勝 ベルリン・マラソン
(CNN) ベルリンで28日、第41回ベルリン・マラソンが開催され、男子はケニアのデニス・キメットが2時間2分57秒の世界新記録で優勝した。
今回のマラソン世界記録
Berlin Marathon公式サイトから優勝したキメット選手の記録です。
下の表には上記リンク先の記録に100mあたりの秒数を追加してみました。
split | time | diff | min/km | km/h | sec/100m |
---|---|---|---|---|---|
5 km | 0:14:42 | 14:42 | 2:57 | 20.42 | 17.64 |
10 km | 0:29:24 | 14:42 | 2:57 | 20.41 | 17.64 |
15 km | 0:44:10 | 14:46 | 2:58 | 20.33 | 17.72 |
20 km | 0:58:36 | 14:26 | 2:54 | 20.78 | 17.32 |
Half | 1:01:45 | 3:09 | 2:53 | 20.86 | 17.22 |
25 km | 1:13:08 | 11:23 | 2:56 | 20.57 | 17.50 |
30 km | 1:27:38 | 14:30 | 2:54 | 20.70 | 17.40 |
35 km | 1:41:47 | 14:09 | 2:50 | 21.20 | 16.98 |
40 km | 1:56:29 | 14:42 | 2:57 | 20.41 | 17.64 |
Finish | 2:02:57 | 6:28 | 2:57 | 20.38 | 17.68 |
凄いスピード
世界記録なんだから凄いのは当たり前と言えば当たり前すぎるのですが、それでもやっぱり凄い!終始1kmあたり3分を切るペースで最速区間は30~35kmを14分9秒で走っています。この区間、2分50秒/km、時速21.2km、100mあたりなら16.98秒です!
一応この私、元ではありますがサブスリー(マラソンを3時間未満で完走する事。)ランナーです。市民ランナーとしてはそれなりに速いほうでありました。
私のマラソンベスト記録は2時間53分台ですが、1kmだけ全力で走っても3分で走る事は出来ません。せいぜい3分20秒~30秒くらいかと思います。私なんかと比べるのも馬鹿らしいですが、このペースに1kmだけでも付いて行く事がどれほど難しいかということですね。マラソン中継をテレビで観ていると時々歩道を全力で走っている子供達が映りますが、おそらく100mくらいしか付いて行けていないだろうと想像します。
後半ハーフもめちゃ速い!
Berlin Marathon最近4年間の優勝者、それから高速マラソン化のきっかけになったと言ってもよいと思われる皇帝ハイレ・ゲブレセラシェ選手が史上はじめて2時間4分を切った2008年大会について前半ハーフと後半ハーフのタイムを列記してみる。
2014ベルリンマラソン
- 優勝者: Dennis Kipruto Kimetto
- 前半ハーフ: 1:01:45
- 後半ハーフ: 1:01:12
- ゴールタイム: 2:02:57(世界記録)
2013年ベルリンマラソン
- 優勝者: Wilson Kipsang Kiprotich
- 前半ハーフ: 1:01:34
- 後半ハーフ: 1:01:49
- ゴールタイム: 2:03:23(世界歴代3位)
2012年ベルリンマラソン
- 優勝者: Geoffrey Kiprono Mutai
- 前半ハーフ: 1:02:12
- 後半ハーフ: 1:02:03
- ゴールタイム: 2:04:15(世界歴代7位)
2011年ベルリンマラソン
- 優勝者: Patrick Makau Musyoki
- 前半ハーフ: 1:01:44
- 後半ハーフ: 1:01:54
- ゴールタイム: 2:03:38(世界歴代4位)
2008年ベルリンマラソン
- 優勝者: Haile Gebrselassie
- 前半ハーフ: 1:02:05
- 後半ハーフ: 1:01:54
- ゴールタイム: 2:03:59(世界歴代5位)
前半、後半でそれほどタイム差が無く、後半の方が速いというタイムも3つあり、どれもこれも素晴らしい走りであることがわかります。世界記録を出したデニス・キプルト・キメット選手の後半ハーフは前半ハーフを含めてもこの中で最も速い1時間1分12秒というタイムです。
このタイムはハーフマラソン日本歴代10傑 – Wikipediaに入れると9位になります。ということは、日本のトップクラスのランナーが2人でリレーをすれば勝てる可能性があるというようなスピードです。
よく「マラソンは30kmから。」なんて言いますが、現在の世界トップクラスには30kmの壁なんて全く関係なさそうな走りですね。
世界と日本のマラソン記録
マラソン世界歴代10傑 – Wikipediaは毎年のように更新されており、一番古い記録は2008年のハイレ・ゲブレセラシェ選手の記録です。一方、日本マラソン歴代10傑 – Wikipediaの記録は中々更新されなくて寂しいものです。
2時間6分16秒である高岡寿成選手の日本記録は2002年、10傑の中で一番古いのは1986年の記録です。2002年当時の世界記録はハヌーシ選手の2時間5分38秒であり、日本記録とは38秒差でしたが今では3分以上になってしまいました。距離にすると1km以上の差になります。
注記: 上記情報は、2014年10月24日現在のWikipediaの情報を元に書いています。
87年福岡国際マラソン、中山選手の走りは凄まじかった!というエントリーを以前書きましたが、私にとってインパクトが大きかったのが、やはりこの時の中山選手の走りです。このレースで中山選手はハーフ地点を1時間1分55秒という当時としてはとんでもないタイムで通過しています。サスガに後半はペースダウンしてしまいましたが、27年も前にこのペースで走った勇気と自信には恐れ入ります。
中山選手のようなランナーが現れれば、一旦開いてしまった世界との差を縮める事も可能かもしれないと思う次第です。しかし、日本ではケニア勢とは違い、マラソンを走る素晴らしい資質を持っていても違うスポーツをしているかもしれませんね。まあ、身体能力が根本的に違うって部分もあるにはあるのでしょうけど、、。
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