Pandocは、MarkdownやHTML、Word、PDFなど、様々な文書フォーマット間を自由に変換できる便利なツールです。今回は初心者の方でもすぐに使えるよう、Markdownの基本とPandocの使い方を分かりやすく解説します。
私自身、Markdownという単語は聞き覚えがありましたが、実際に使い始めたのは、このblosxom風システムをAIと共同開発してからです。一般の方には馴染みが薄いと思いますので、この記事を書きました。
Markdownとは?
Pandocを使う前に、まずMarkdownについて簡単に説明します。
Markdownは、シンプルな記号を使って文書を書くための記法です。プレーンテキスト(メモ帳で書けるような普通の文字)だけで、見出しや箇条書き、リンクなどを表現できます。
マークアップ言語というものもあり、一般の方にはHTMLが馴染み深いかもしれません。Markdownは、こうした記法を簡潔にしたものといえます。
Markdownのメリット
- シンプル:特別なソフトがなくても、メモ帳で書けます
- 軽量:ファイルサイズが小さい
- 変換しやすい:HTMLやPDFなど、様々な形式に変換できる
- プログラマーに人気:GitHubなどでも標準的に使われています
Markdownの基本的な書き方
簡単な例を見てみましょう:
# 見出し1
## 見出し2
### 見出し3
段落は空行で区切ります。
**太字** や *斜体* も簡単です。
- 箇条書き1
- 箇条書き2
- 箇条書き3
1. 番号付きリスト
2. 2番目
3. 3番目
[リンクテキスト](https://easyrunner.jp/run/)

このように書くと、以下のように表示されます:
見出し1
見出し2
見出し3
段落は空行で区切ります。
太字 や 斜体 も簡単です。
- 箇条書き1
- 箇条書き2
- 箇条書き3
- 番号付きリスト
- 2番目
- 3番目

Markdownファイルの作成方法
Markdownファイルは拡張子を .md にしたテキストファイルです。
作成手順:
- メモ帳(Windows)やテキストエディット(Mac)を開く
- Markdown記法で文章を書く
- 「名前を付けて保存」で、ファイル名を
document.mdのように.mdで終わるようにする - 「ファイルの種類」を「すべてのファイル」に変更して保存
おすすめのエディタ:
- Visual Studio Code(無料、Windows/Mac/Linux対応)
- Typora(シンプルで使いやすい、有料)
- MarkText(無料、オープンソース)
これらのエディタを使うと、Markdownをリアルタイムでプレビューしながら編集できます。
Markdownで書く利点
Pandocの説明に入る前に、なぜMarkdownで文書を書くのか、その利点を確認しておきましょう。
1. バージョン管理がしやすい
プレーンテキストなので、どこを変更したか一目瞭然です。WordやExcelのようなバイナリファイルと違い、変更履歴が追いやすくなります。
2. どんな環境でも開ける
特別なソフトがなくても、メモ帳で開けます。10年後でも読めるファイル形式です。
3. 書くことに集中できる
フォントやレイアウトではなく、内容に集中できます。装飾は後から変換時に調整できます。
4. 再利用しやすい
同じMarkdownファイルから、Web用HTML、印刷用PDF、プレゼン用スライドなど、様々な形式を生成できます。
Pandocとは?
Pandocは「ユニバーサル文書変換ツール」と呼ばれ、プログラマーのJohn MacFarlane氏によって開発されました。以下のような変換が可能です:
- Markdown → HTML、Word、PDF
- HTML → Markdown
- Word → PDF
- その他、30種類以上のフォーマットに対応
Pandocで変換する利点
1. 一度書けば、どんな形式にも
Markdownで文章を書いておけば、必要に応じてWord、PDF、HTMLなど、どんな形式にも変換できます。
2. 自動化できる
コマンド1つで変換できるので、定期的なレポート作成などを自動化できます。
3. 一貫性のある文書
テンプレートを使えば、複数の文書で統一されたデザインを保てます。
実例:ブログ記事をMarkdownで書いておけば、
- Web公開用にHTMLに変換
- 配布用にPDFに変換
- 共同編集用にWordに変換
といったことが簡単にできます。
インストール方法
Windows
- Pandoc公式サイトにアクセス
- Windows用インストーラー(.msi)をダウンロード
- インストーラーを実行
macOS(Homebrewを使用)
brew install pandoc
Ubuntu/Debian
sudo apt install pandoc
インストール確認
コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Mac/Linux)を開いて、以下を実行:
pandoc --version
バージョン情報が表示されればインストール成功です。
基本的な使い方
1. MarkdownからHTMLへ変換
最もシンプルな例から始めましょう。
pandoc input.md -o output.html
input.md:変換元のMarkdownファイル-o output.html:出力先のHTMLファイル-oは「output(出力)」の意味
2. MarkdownからWordへ変換
pandoc input.md -o output.docx
拡張子を.docxにするだけで、Word形式で出力されます。
3. MarkdownからPDFへ変換
pandoc input.md -o output.pdf
※PDF出力にはLaTeX環境が必要です。Windowsの場合はMiKTeX、macOSの場合はMacTeXをインストールしてください。
実践:コマンドプロンプトでの操作手順
ステップ1:フォルダに移動
変換したいファイルがあるフォルダに移動します。
# Windowsの例
cd C:\Users\ユーザー名\Documents
# Mac/Linuxの例
cd ~/Documents
便利な方法(Windows):
エクスプローラーでフォルダを開き、アドレスバーに「cmd」と入力してEnterを押すと、そのフォルダでコマンドプロンプトが開きます。
ステップ2:ファイルの確認
dir
(Mac/Linuxではls)
変換したいファイルがあることを確認します。
ステップ3:変換実行
pandoc README.md -o README.docx
これで同じフォルダにREADME.docxが生成されます。
よく使うオプション
スタンドアロンHTML(完全なHTMLページ)
pandoc input.md -o output.html -s
-sオプションを付けると、<html>、<head>、<body>タグを含む完全なHTMLが生成されます。
目次を追加
pandoc input.md -o output.html --toc
--toc(Table of Contents)で自動的に目次が作成されます。
CSSを適用
pandoc input.md -o output.html -c style.css
独自のスタイルシートを適用できます。
メタデータを指定
pandoc input.md -o output.docx --metadata title="文書タイトル" --metadata author="著者名"
文書のタイトルや著者情報を追加できます。
複数ファイルの変換
複数ファイルを結合
pandoc chapter1.md chapter2.md chapter3.md -o book.pdf
複数のMarkdownファイルを1つのPDFにまとめられます。
一括変換(Windows)
フォルダ内のすべての.mdファイルをHTMLに変換:
for %f in (*.md) do pandoc "%f" -o "%~nf.html"
一括変換(Mac/Linux)
for file in *.md; do
pandoc "$file" -o "${file%.md}.html"
done
よくあるトラブルと解決法
エラー:「pandoc: コマンドが見つかりません」
Pandocがインストールされていないか、パスが通っていません。再インストールするか、コマンドプロンプトを再起動してください。
エラー:「does not exist (No such file or directory)」
ファイルが見つかりません。以下を確認してください:
- ファイル名のスペルは正確か
- 拡張子(.md)は正しいか
- 正しいフォルダにいるか(
dirまたはlsで確認) - ショートカット(.lnk)ではなく実ファイルか
PDF変換でエラーが出る
LaTeX環境が必要です。MiKTeX(Windows)またはMacTeX(macOS)をインストールしてください。
実用例
ブログ記事をWordで共有
pandoc blog-post.md -o blog-post.docx -s --toc
技術文書をPDFに
pandoc technical-doc.md -o technical-doc.pdf --toc --metadata title="技術仕様書"
HTMLファイルをMarkdownに逆変換
pandoc webpage.html -o webpage.md
Webページの内容をMarkdownとして保存できます。
まとめ
MarkdownとPandocを組み合わせることで、文書作成の効率が大幅に向上します。
Markdownの良さ:
- シンプルで覚えやすい記法
- どんな環境でも編集できる
- 内容に集中して書ける
Pandocの良さ:
- 様々な形式に変換できる
- コマンド1つで変換完了
- 自動化も可能
基本の形は:
pandoc 入力ファイル -o 出力ファイル
この形を覚えておけば、拡張子を変えるだけで様々な形式に変換できます。
まずは簡単なMarkdownファイルを作って、HTMLやWordに変換してみることから始めてみてください。慣れてくれば、ブログの執筆、技術文書の作成、レポートの提出など、様々な場面で活用できるようになります。
参考リンク