マラソンシーズン真っ只中、トレーニングを重ねる日々が続いていますが、今日は少し気になるテーマについて考えてみたいと思います。それは「飲酒とランニングパフォーマンスの関係」です。
仕事の付き合いや、レース後の打ち上げ、あるいは週末のリラックスタイムなど、市民ランナーとして生活する中で、お酒と完全に縁を切るのは現実的ではありません。しかし、真剣にタイムを狙っているランナーにとって、飲酒がどのような影響を及ぼすのか、正しく理解しておくことは大切だと思います。
飲酒がもたらす悪影響
まず率直に言えば、飲酒はランニングパフォーマンスにとって基本的にマイナス要因となります。その理由をいくつか挙げてみましょう。
最も深刻な影響は、筋肉の回復と成長の阻害です。アルコールは筋タンパク質の合成を抑制し、逆に筋タンパク質の分解を促進してしまいます。ハードなトレーニングの後にお酒を飲むと、せっかくのトレーニング効果が十分に得られなくなる可能性があります。特に筋肉の修復が最も活発に行われる就寝前の飲酒は、回復を大きく妨げることになります。
睡眠の質の低下も見逃せません。お酒を飲むと確かに寝つきは良くなるのですが、深い睡眠が得られにくくなり、中途覚醒も増えてしまいます。ランナーにとって睡眠は最高のリカバリー手段ですから、これは大きな痛手です。翌朝の疲労感が残り、朝ランの質も落ちてしまいます。
脱水症状のリスクも無視できません。アルコールには利尿作用があり、体内の水分を排出してしまいます。特に夏場のトレーニング後に飲酒すると、ただでさえ脱水気味の体からさらに水分が失われ、熱中症のリスクも高まります。翌日のランニング中の疲労やパフォーマンス低下につながります。
体重管理の面でも問題があります。アルコール自体が1グラムあたり7キロカロリーと高カロリーで、これは脂質に次ぐエネルギー量です。さらに肝臓がアルコール分解を優先するため、脂肪の代謝が後回しになり、体脂肪として蓄積されやすくなります。ビール腹という言葉があるように、継続的な飲酒は体重増加につながりやすいのです。
免疫機能の低下も指摘されています。過度な飲酒は免疫システムを弱め、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。マラソンシーズンに体調を崩してトレーニングが中断されるのは、何としても避けたいところです。
判断力や運動能力の一時的な低下については説明するまでもないでしょう。飲酒後や二日酔いの状態でのランニングは、転倒や怪我のリスクを高めます。また、フォームが乱れることで無駄な負担が体にかかり、故障の原因にもなりかねません。
わずかながらのメリット
では、飲酒に全くメリットはないのでしょうか。実は適度な飲酒には、限定的ながらいくつかのポジティブな側面も報告されています。
最も大きいのは心理的なリラックス効果です。適量のアルコールはストレスを和らげ、精神的な緊張を解きほぐしてくれます。仕事や家庭の日常的なストレス、あるいはレース前の緊張感を和らげる手段として、お酒が果たす役割は否定できません。市民ランナーとして生活全体のバランスを考えたとき、この心理的な側面は重要かもしれません。
また、適度な飲酒は社会的なつながりを維持する上で役立つことがあります。仕事の付き合いや、ランニング仲間との懇親会など、お酒を介したコミュニケーションは人間関係を円滑にします。これらの社会的つながりも、広い意味での健康や幸福感に寄与するものです。
赤ワインに含まれるポリフェノールなど、一部のお酒には抗酸化物質が含まれており、適量であれば心血管系に良い影響を与える可能性があるという研究もあります。ただし、これは「適量」という条件付きであり、同じ効果は他の食品からも得られることを忘れてはいけません。
市民ランナーとしての向き合い方
結論として、本気でタイムを追求するトレーニング期間中、特にレース前は飲酒を控えることが望ましいのは間違いありません。しかし、市民ランナーは職業ランナーではありません。社会生活や人間関係も大切にしながら、走りを楽しむことが本質だと私は思います。
大切なのは、飲酒がパフォーマンスに与える影響を正しく理解した上で、自分なりのバランスを見つけることではないでしょうか。重要なトレーニングの前後は避ける、レース1週間前からは断酒する、飲むときは適量にとどめる、飲酒後は十分な水分補給をするなど、自分なりのルールを設けることが現実的な対応だと思います。
そもそも私自身はお酒大好きです。これまでは毎日のように飲んでいる日々、ダイエットきっかけでマラソンにハマっていたころはほぼ飲まずであったりと、飲んだり飲まない時期を繰り返してきました。
しかし、50代からとうとう還暦になりましたが、飲酒の悪影響というものを実感するようになり、昨年後半あたりからは付き合いで飲む程度に飲酒頻度を減らしました。おかげで睡眠の質や、普段のコンディションもより良い方向になったと感じております。
皆さんも、ご自身のランニング目標と生活スタイルに合わせて、お酒との適切な距離感を探ってみてはいかがでしょうか。