01 02

Easy Running【最新研究】ランニングが「脳」を守る?認知症予防に役立つ理由と実践のコツ

「走ることが認知症予防に役立つ」——そう聞いて、半信半疑に思う方もいるかもしれません。しかし近年の研究では、ランニングをはじめとする有酸素運動が、将来的な認知症リスクの低下と関連していることが明らかになってきました。

本記事では、2024年〜2025年に発表された研究報告をもとに、なぜ走ることが脳に良いと考えられているのか、どの程度の運動が目安となるのかを分かりやすく解説します。

1. 研究が示す事実:運動習慣と認知症リスクの関係

近年の大規模コホート研究やメタ解析では、定期的な運動習慣を持つ人は、持たない人に比べて認知症全体の発症リスクが2〜3割程度低いことが報告されています。
アルツハイマー病に限定すると、リスク低下の幅はさらに大きい可能性が示唆されています。

中年期からの習慣化が重要

アルツハイマー病では、原因物質とされるアミロイドβなどが、症状が現れる10〜20年以上前から脳内に蓄積し始めることが知られています。

そのため、40代・50代の中年期から心肺機能を維持している人ほど、将来的な認知機能の低下が緩やかになる傾向があります。
2024年にJournal of the American Geriatrics Societyで報告された研究では、中年期に高い心肺持久力を保っていた人は、認知症の発症時期が平均して1年前後遅れる可能性が示されています。

※個人差が大きく、すべての人に当てはまるわけではありません。

2. なぜランニングが脳に良いのか?

運動が脳に良いとされる理由のひとつが、BDNF(脳由来神経栄養因子)という物質の分泌です。

脳の健康を支えるBDNFの役割

BDNFは、脳内で次のような重要な役割を担っています。

  • 神経の成長と維持
    記憶に関与する海馬などで、神経細胞の働きを支えます。
  • 神経ネットワークの強化
    学習や記憶に必要な神経回路の可塑性を高めます。
  • 脳の保護作用
    炎症や加齢によるダメージに対する抵抗力を高めます。

ランニングなどの有酸素運動は、このBDNFの分泌を促すことが多くの研究で確認されています。
さらに、血流の改善によって脳への酸素・栄養供給が増える点も、脳機能維持に寄与すると考えられています。

3. どのくらい走ればいい?無理のない運動量の目安

「毎日きついトレーニングが必要」というわけではありません。

目安は週150分以上

WHOの国際的ガイドラインでは、健康維持のために週150〜300分の中強度の有酸素運動が推奨されています。

  • 1日30分 × 週5回のジョギング
  • 1日50分 × 週3回

この程度の運動量でも、認知機能の維持や低下リスク軽減に寄与する可能性があります。

少量でも効果は期待できる

最近の研究では、1日10〜20分程度の軽い運動であっても、継続することで脳に良い影響が見られることが報告されています。
重要なのは「完璧な運動量」よりも「継続」です。


4. 継続するための実践ポイント

1. 会話ができるペースで十分

息が上がるほど追い込む必要はありません。「会話ができる強度」とは、息が少し弾む程度で、隣の人と会話できるペースのこと。この強度でも、脳への血流増加やBDNF分泌が期待できます。

2. 筋トレとの併用

有酸素運動に加え、週2〜3回の筋トレを組み合わせることで、認知機能への好影響がさらに高まる可能性があります。筋力維持は転倒予防にもつながり、結果として活動的な生活を長く続けられることにもなります。

3. 楽しめる工夫をする

運動の効果は、やめると徐々に薄れていきます。ウェアやコース、音楽などを工夫し、生活の一部にしましょう。「義務」ではなく「楽しみ」として続けられる環境づくりが、長期継続の鍵となります。


まとめ:今日の運動が、将来の脳を支える

現在の研究が示しているのは、「何歳から始めても、やらないよりは確実に良い」という事実です。

40代以降であっても、運動を習慣化することで、脳の老化スピードを緩やかにできる可能性があります。
まずは15分のスロージョギングから、将来の自分への投資を始めてみてはいかがでしょうか。


参考・出典

  • Stanford Lifestyle Medicine(2024)
  • Journal of the American Geriatrics Society(2024)「Midlife Cardiorespiratory Fitness and Dementia Risk」
  • Karolinska Institutet による疫学研究(2024)

※本記事は情報提供を目的としており、医学的な助言を行うものではありません。
持病のある方や体調に不安のある方は、医師に相談のうえで運動を始めてください。