「諦める力」前向きに諦めるということ

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前向きに諦めるということ

2001年エドモントン世界選手権、2005年ヘルシンキ世界選手権の銅メダリスト、為末大さんのブログをよく読ませて貰っています。一流アスリートの視点で書かれている記事に含蓄があり、興味深いです。

で、興味深い記事を書かれる為末さんの著書を読んだので紹介してみる。

諦める力

著者である為末大さんの略歴は下記の通り。

参照元: About | 為末大・侍オフィシャルサイト

1978年広島県生まれ。陸上トラック種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2014年10月現在)。
2001年エドモントン世界選手権および2005年ヘルシンキ世界選手権において、男子400メートルハードルで銅メダル。

為末さんのアスリートとしての経験を元に、「諦める」ということは別の道を選ぶことにより、勝利やより良い人生に繋げていくためのもの。前向きに諦める事について書かれています。

為末さんの諦め

小さな頃から足の速かった為末さん、高校生まで100メートルの選手であったが、やむなく400mハードルに転向した。(詳しくは著書を読んでみてください。)

その後、世界トップレベルの400mハードルを見たときの感想をこのように書かれています。

「100メートルでメダルを取るよりも、400メートルハードルのほうがずっと楽に取れるのではないか」

で、100mと400mハードル。それからついでにマラソンについて日本記録と世界記録の比率について計算してみた。

種目JPRWRJPR/WR
100m10.00sec9.58sec1.044倍4.2m
400mH47.89sec46.78sec1.024倍9.3m
42195m2:02:572:06:161.027倍1108.3m

  • JPR: 日本記録
  • WR: 世界記録
  • JPR/WR: 日本記録÷世界記録(この値が1に近ければ、日本記録と世界記録の差が小さい。)
  • 差: 世界記録保持者がゴールした瞬間に日本記録保持者とついている距離差。

確かに、100mよりも400mハードルの方が世界との差が小さいことがわかります。400mハードルの日本記録は、為末さんが2001年に出した記録です。

余談だが上の表を見ると、マラソンも案外世界記録と近いように感じるが、世界に追いつきそうな予感はしない。マラソンの場合はかつて世界レベルであったのだが、どんどん引き離されているのが現状です。瀬古選手や中山選手が全盛期だった1980年代なら上表のJPR/WRは1に限りなく近かったのです。

本題に戻ります。100mの世界トップクラスと勝負しても勝つことが難しい。金メダルを狙うなら400mハードルの方が手が届きやすい。これが為末選手が100mを諦めた理由。諦めというより、金メダルを狙う手段を変えたと言った方が良いかもしれません。

諦めるタイミング

引退後の現在も活躍されている為末さん。100mに固執していたら、現在があったのでしょうか?「たられば」の話なので、違った人生で活躍されている可能性もある。

しかし、為末さんが見てきた陸上界では、良い成績を残せないまま30代になってから引退。陸上競技しかやってこなかった方が、その後の社会生活に中々馴染めないという多くの選手を見てきたそうだ。

結果を出せないまま続けるのか、それともどこかで見切りをつけるのか。この書籍のサブタイトル「勝てないのは努力が足りないからじゃない」という言葉には、チャンピオンよりも努力していたとしても、勝てない人の方が遥かにに多いということを意味している。いくら頑張ってもそこから先に進めない領域が誰にでもある。そこに気づき、別の道を選ぶときにネガティブな意味での諦めと捉えなくてもよいだろう。そんな風に書籍の中で訴えておられます。

実際、別の道を選ぶとき、それが良いのか悪いのかは後になってからしか分からないだろうから、難しい選択になるには違いないだろうと思いますが。

まとめ

本書の冒頭の方で、iPS細胞でノーベル賞を受賞された山中伸弥教授の例をあげておられた。有名なエピソードなので、ここには上げませんが、リンクしておきます。

この書籍は、日本人の美徳である「やめずに続けること。」そしてその先には「何らかの成果がある。」という考え方に一石を投じるような内容です。本書の中では「諦める」という表現を使われていますが、人生の要所で違う道を選び、総合的により良くなる方向へ進もうという考え方です。

山中教授も「努力すればなんとかなる。」と考えて整形外科医を続けていれば、違った人生になっていたことでしょう。それでも私から見れば充分に勝ち組なのですけど、、。

私のような平凡な人間には、為末さんや山中教授のように人生をかけて打ち込んだというようなものはありません。てか、簡単に諦めっぱなしで今に至っているようなものでありますが、「なるほど。」と共感できる考え方もあちこちに書かれていました。

本書の内容とは違った意味の諦めのよさというか、潔さの違いをこんな記事から感じた。問題を認めたユニクロとそうではないワタミに関する記事です。

またまた関係無いけど、世の中で最も諦めが悪いのは不祥事を起こした政治家だろう。という結論に至りましたw


現在私は出張中なのですが、出勤前の10~20分くらいを読書時間に充てている。こんな細切れ時間でも数日間続けると結構読めるものですね。そしてKindle Voyageを使っているので、出張先からでも本を物色できる。こいつを手にしてから読書量が増えましたよ。

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