最近読んだ「日本のいちばん長い日」と「情報なき国家の悲劇」

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最近読んだ「日本のいちばん長い日」と「情報なき国家の悲劇」

7〜8年前、鹿児島出張に行った際、知覧特攻平和会館に行った事がある。その頃、私の子供も10代後半の年頃であり、同じような年頃の少年たちが特攻隊として飛び立って行った。そのような事実があったという事に対し、何とも言えない憤りとか悲しみといった感情が湧いてきたものです。

参考エントリー: 知覧特攻平和会館と特攻基地知覧

今の季節、戦争に関するニュースなどが多くなります。私が最近っていうか今年読んだ戦争に関する書籍を二つほど紹介してみる。

日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日(決定版) – Amazonでの内容紹介は下記の通り。終戦までの24時間に焦点を当てたノンフィクションです。

近代日本の“運命の一日”を描いた不朽の名作。太平洋戦争を終結させるべく、天皇の「聖断」に従い和平への努力を続ける首相鈴木貫太郎をはじめとする人々と、徹底抗戦を主張して蹶起せんとした青年将校たち──。玉音放送を敢行しようとする政府関係者に対して、陸軍の一部軍人は近衛連隊を率いて皇居に乱入した。そのあまりにも対照的な動きこそ、この一日の長さを象徴するものであった。玉音放送が流れた昭和二十年八月十五日正午に至る一昼夜に繰り広げられた二十四幕の人間ドラマ。

この書籍は、昭和40年に著者「大宅壮一」として発刊されています。「序」(前書き的なもの)の最後には、「大宅壮一」と書かれています。その「序」から次に紹介する「情報なき国家の悲劇」にも繋がる一文を引用しておきます。

ここに登場する人物は、それぞれ自分のもっている〝日本的忠誠心〟にしたがって行動し、ぶつかりあっている。だが、ぜんたいをマクロ的に観察し、冷静な判断をくだすという大政治家、大監督がいなかった。

この引用文については、「情報なき国家の悲劇」の方で併せて書きます。

後書きは本当の著者である「半藤一利」氏が書かれている。当時は様々な事情から、「大宅壮一」名義になったと書かれています。それと、戦後20年後である昭和40年でも、情勢により隠蔽せざるをえないものもあったようです。20年経っても事実が明らかになると都合の悪い人がいたという事がわかります。

内容は紹介内容の通り、玉音放送前の24時間。戦争終結を聖断した天皇陛下とそれに向かう鈴木首相ら。それを迎え入れられない青年将校らの行動を描いた実話です。内容紹介の中には出てきませんが、私が印象に残っているのは阿南陸相の存在です。この陸相がいなければ、また違った形で8月15日の正午を迎えていたのかもしれません。「宮城事件」についても詳しく書かれています。ネタバレになるので、これ以上は書籍でどうぞ。

参考リンク: 宮城事件 – Wikipedia

この書籍を読んだ後で、映画 日本のいちばん長い日も観ましたが、2時間くらいでまとめるのはちょっと無理があるかな?って感じでした。映画だけを観た人には書籍を読むこともお薦めしたい。

情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記

こちらの書籍は戦争の本というより、第二次世界大戦を題材として情報に関する事について書かれた書籍です。この中では、情報を収集し、それらを解析する事がどれほど大切な事であるかを説かれています。

著者は堀栄三氏。堀栄三 – Wikipediaから引用させていただくと、このような方です。

正確な情報の収集とその分析という過程を軽視する大本営にあって、情報分析によって米軍の侵攻パターンを的確に予測したため、「マッカーサー参謀」とあだ名された。戦中の山下奉文陸軍大将、そして戦後海外の戦史研究家にもその能力を高く評価されている。

現代はインターネットが発達し、情報化社会と言われて久しい。しかし、情報処理というのはコンピューターが無くても大切な事だという事がよくわかる書籍です。

「日本の一番長い日」の「序」で引用した部分にも書かれている〝日本的忠誠心〟や精神的なものが優先し、情報を疎かにした事が悲惨な戦争に繋がった事を書かれています。

現代社会に於いても客観的に分析した見方より、日本人にありがちな根性論とか精神論のようなものが優先している場合が、いまだに多く見られるのではないでしょうか。

戦時中に見られるような「一億総玉砕とか、最後の一人になっても、、、」なんて事は冷静に考えたら無謀な事だとわかるだろうし、わかってもそう言えない社会。これは最近問題になっている長時間労働にも、根底で繋がっているのではなかろうかと思ってしまいます。

戦時中のことを題材として書かれていますが、現在の自分はどちら側の人間だろうと照らし合わせて読める良書です。


万年筆にハマってしまった。これのアカブライヤーを買った。筆圧が無くても書けるのが新鮮で書き味がめっちゃええ!細字の方が小さい文字を書くには向いていそうだが、書き味はこの中字の方が良いだろうな。私は良いと思っている。

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